高円寺アッカのワインを一晩で全部飲んでみた。

ワインとの出会いは人よりも早かった。

鏡月を生(き)で飲んでいた頃、飲み会は俺にとって戦場だった。

一気飲みをしなければ何も始まらない。殺伐とした雰囲気の中でただひたすらに酒を煽った。記憶が無くなるまで。

酒が強い奴がエライ。

男子校・体育会系というソサエティが生み出した負の思想。

そんな男達にとって白ワインは水、赤ワインはブドウジュースである。

30を超えた現在、飲み会にかつてのヒリついた空気はない。

ただ楽しい。飲み会ちょー楽しい。

酒との付き合い方が変わった今、

やるべきことはワインと真剣に向き合うこと。

男とワインの一本勝負をここ高円寺で始めたいと思う。

イタリアワインと野菜のバル”高円寺アッカ”

舞台は高円寺アッカ。イタリアワインと野菜とイケメンソムリエの店。

思えば四年前、荻窪から引っ越してきて最初に来た店がここだった。

あれから何リットルのワインを飲んだのか。

世界一帰らない男という厄介そうな異名をもらったのもここだ。

今日は味わって飲みたい。

右が店長のたかや、左がまなぶ

二人とも若きソムリエだ

たかやは元美容師のおしゃれソムリエ。メガネを外した時の眼光の鋭さとヒゲから海賊と呼んでいる。

たかやとはダイエット対決中でもある。結果は真夏に発表したいと思う。

まなぶはソムリエに加え、ミュージシャン・エンジニアとモテそうな肩書きを片っ端から取得してきている勢いのある男。

二人がワインについて色々と教えてくれるので参考にしながら楽しんでいこう。

高円寺アッカは一人で来ても楽しいお店だ。

前日もこの二人と営業終了後に飲んでいたので万全ではないが、男に二言はない。

今日はグラスメニューを上から全て飲み干していきたいと思う。ゆっくりと味わいながら。

見た感じイージーだ。

まずはビールで乾杯!(1杯目) ¥500

すぐにチャレンジを始めると見せかけてビールから始め、余裕があるところをアピール。

それが川崎のやり方。

誰よりも早くビールを飲み干すまなぶ。

こっちも負けてられないので

と。

仕事に集中してほしい。

お通しのチーズ

地味に嬉しいのがお通しで出てくるチーズ。

右は忘れたが左はイタリアチーズ界のキング、パルミジャーノ・レッジャーノ。

なんとも口に出したくなる名前のこのチーズは熟成を進めるほどアミノ酸の白い結晶が大きくなり、シャリっという食感が特徴。

赤ワインが飲みたくなる濃厚さだが、上から注文していくのでまずはスパークリング。

プロセッコ2010(2杯目)  ¥1,100

イタリアで一番生産されているスパークリングワイン、プロセッコ。DOCCに認定された2010年に初醸造されたイカした一杯とのこと。DOCCってなんやねん。キレのある味わいと柑橘系の香りがいい。シャンパンより個人的には全然好き。

ここでお隣にいた常連さんから赤スパークリングワインのプレゼント。

他のお客さんと気軽に繋がれるのも高円寺アッカの魅力の一つだ。

美しい。

一瞬でいただいた。

ロータリ ブリュットロゼ(3杯目) ¥800

モエ・シャンドンにクリソツなこちらのスパークリングはチェリーや、リンゴ等の果実味と爽やかな酸味が特徴。プロセッコ同様甘すぎないのが良い。甘い飲み物はピルクル以外認めてない。

マレイ シードル(4杯目) ¥900

これはびっくりするほど旨い。シードルはもともと好きだが、レベルが違う。

りんごの香りと旨味の中にウイスキーのようなスモーキーさがある。

楽しくなってきた。

20種彩り野菜のサラダ ¥1,000

かつてサラダでこんなに満足したことはあっただろうか。

揚げ・茹で・生と三種類の調理方法でサラダを完璧な料理へと昇華させている。サラダの最終形態と言っても過言ではないだろう。

アボカドとモッツァレラのマリネ ¥500

これも毎回頼む定番メニュー。やはりアッカの野菜料理は一味違う。

グリッロ(5杯目) ¥500

シチリアのぶどうで作られている。

辛くない。かと言って甘くない。すっと入ってくる危険なワイン。

牡蠣のオイル漬け ¥500

牡蠣を見つけたら必ず頼むのが川崎のやり方。

食べると肝臓が回復してくるのを感じるのだが、気のせいだろうか。

プリップリの牡蠣にオリーブオイルの香りが加わって最高のツマミに。

白ワインがバンバン進む。

グリッロとの相性もバッチリ。

ピノグリージョ(6杯目) ¥700

グリージョはグレイという意味で、灰色ブドウというブドウから作られているとのこと。洋梨のような香りがあってバランスが良い白ワイン。

ここで魚介料理を追加オーダー。

ホタルイカと菜の花のアーリオオーリオ ¥800

ホタルイカの濃厚さと菜の花の苦味が大人のマッチングを見せる。

アーリオオーリオ界のティンダーとでも言っておこう。

バケットに乗せて頂く。当然旨い。

バルカンツィリア(7杯目) ¥900

石灰のようなミネラル香があり、ナッツやレモンなどのアロマも感じられるとのこと。

なるほど。これがミネラル香か。

ワインが面白くなってきた。

パルチャーナ(8杯目) ¥1,500

サルタレリの最上級白ワイン。

川崎が水と呼んでいるワイン”トラリビオ”の上位互換。

これは凄いよ。

飲むとフルーツレベルのフルーツ感が爆発。

その後に強い甘みがくる。これがまた上品。

ここで楽しみにしていた料理が到着。

ゴルゴンゾーラと野菜たっぷりのグラタン ¥800

旨い。THE 旨い。遠慮の無い旨さ。

揚げた旬の野菜がたっぷり入ったグラタン。ゴルゴンゾーラがヤバイ。

お店も推している超オススメしたい一品だ。

ホタテとアスパラのクリームソース ¥1,000

これは常連の友達が食べてたので盗撮させて頂いた。

見るからに旨い。

ホタテを一個もらえないか聞こうと思ったが、品が無さすぎるのでやめることにした。

ワインは品性と共にある。

アッカはパスタのレベルもかなり高いので是非トライして欲しい。

パルチャーナを名残惜しくも飲み干して白ワイン終了。

ここまで素人ながらワインについてあれこれコメントしてきたが、

普段は隣の人に浅い知識でワインのウンチクを垂れ流したりはしてこないので安心して欲しい。

ここで大体折り返し地点だが、

俺はまだ5%も酔っていない

というコメントが出るレベル。

徐々に酔いが回ってきている証拠だ。

お次は世にも珍しいオレンジワイン。

リヴォッラディオスラヴィア(9杯目) ¥1,500

オレンジワインとは何者なのか。たかやに尋ねると

白ワインは白ブドウの果汁だけ、赤は赤ブドウの皮ごと。オレンジワインは白ブドウから作られているが、赤ワインと同じ製法で白ブドウを皮付きのまま使う。

ということを教えてくれた。これだけは覚えて帰ろう。

白ワインの香りに赤ワインの重さを兼ね備えている。これはこれで良い。

次はロゼだ。

ボルサリロザート(10杯目) ¥1,100

やたらと強そうな名前のロゼワイン。

妖艶な輝きを見せるセクシーな一杯だ。

ここからは赤ワイン、食べ物は肉系を合わせていきたい。

原木(げんぼく)からハムを薄切りにするたかや。

海賊にはハムが良く似合う。

ハモンセラーノ(生ハム) ¥500

スペイン産のハモンセラーノ。

イタリアにこだわる高円寺アッカがハムだけはスペイン産をチョイスするほどスペインのハムは旨い。

いつかは原木を家に飾りたいものだ。

赤ワインには必須の一品。

シラー(11杯目) ¥500

カベルネ・ソーヴィニヨンの予定だったが、空いてしまったとのことでソムリエがチョイス。先ほど飲んだ白ワイン”グリッロ”と同じブランドだ。

原産地はオーストラリア。スパイシーな味わいが特徴。

牛シンシンのローストビーフ ¥1,200円

こちらもお店一推しの料理。キレイな赤み肉に玉ねぎのソースが抜群に合う。

スパイシーなシラーとの相性もいい。

サリーチェ(12杯目) ¥700

ここまでたかやにワインの説明を聞いていたので、今回はまなぶに聞いてみた。

南らしい果実味がしっかりした赤ワイン。ビターな樽の風味があります。

彼もソムリエだ。

ちなみにまなぶはブドウの形をしたソムリエバッチをいつも分かりやすいところにつけている。

パテ・ド・カンパーニュ ¥700

これが一番好きかもしれない。

その濃厚さは赤ワイン一本いけるレベル。

川崎が全力で推す一皿。

かなり食べた気がするが、不思議と満腹ではない。

質の良いワインとそれに合うように設計された料理達が胃袋を無限に広げてくれる。

カルベネソーヴィニヨン(13杯目) ¥500

旨い。いい感じの重さ。

青い野菜の香りが特徴的でタンニンと酸味のバランスがしっかりしてる。

フレーム(14杯目) ¥1,000

バルベラというイタリア土着品種の赤ワイン用ブドウ品種を使っているとのこと。

干し葡萄に近い旨さがある。

ハーブたっぷりのソーセージ  ¥700

ラスボスの前につまみのソーセージ。

ジューシーな味わいとハーブの爽やかさが絶妙なバランス。

次がついにラスト!

ラスボス ロスディブリ(15杯目) ¥1,500

ラストに相応しい赤ワイン。

熟したダークチェリーやプルーンの果実味。それに加えてイタリアの土壌を感じさせる味わい。

これでラストか。

寂しさを紛らわせるかのように一瞬で飲み干した。

チャレンジ完了!

拍手を送ってくれたたかやまなぶ

拍手してと頼んだかどうかは定かではない。

二人ともご協力ありがとう!

最後は水で乾杯。

あー楽しかった。

ワインと真っ向から向かい合うことができた。

伝票3枚出てきた。

金額は見ずにすっとカードを差し出す。

それが川崎のやり方。

最後に

ワインも料理も最高だった。

ただ、最も素晴らしいと思うのは高円寺アッカにくる人がスタッフと仲良くなったり、お客さん同士が友人になったりと、お店を通して自然にコミュニティーができること。

ikivilはそういったお店を応援していきたい。

筆者も高円寺に越してから四年間、本当に楽しませてもらった。

改めて高円寺アッカに感謝したいと思う。

恵比寿ライターのBOIが姉妹店の恵比寿アッカにも取材に行ったのでぜひ見てね!

これから二次会!では!

お店の情報

店名:高円寺アッカ(acca)

住所:東京都杉並区高円寺南2-50-10

アクセス:JR中央線【高円寺駅】から徒歩5分

電話番号:03-6304-9304

営業時間:[月~日] 17:00~翌3:00(L.O.翌2:00)無休

クレジットカード:VISA、MASTER、JCB、AMEX (電子マネー不可)

ブログ:http://ameblo.jp/vegebar-acca/

最新情報をチェックしよう!